株式会社ケップル(本社:東京都渋谷区、代表取締役:神先孝裕、以下ケップル)は、スタートアップ株式のセカンダリー取引特化型ファンド「Kepple Liquidity 1号投資事業有限責任組合」(以下、当ファンド)を2022年6月1日に設立しました。2023年夏頃をめどにファイナルクロージングを行う計画で、最大総額50億円規模を目指します。当ファンドは、近年高まりつつあるスタートアップ株式のセカンダリー取引ニーズへの対応を目的としています。主に事業会社・CVCの投資戦略の変更やファンド期限の到来といった投資家の個別事情に対応し、既存株主から成長が期待できる株式を買い取ることを投資戦略としています。既存株主の流動化ニーズの受け皿となることで、スタートアップにとっては未上場の段階で成長する期間を提供し、大型の新規上場企業の創出につなげます。当ファンドでは、20年近くベンチャーキャピタリストとして経験を積んできた堂前泰志がファンドマネージャーを務めます。様々な市場環境での投資活動で実績を持つ堂前の知見、人的ネットワーク、スタートアップ及び投資家に関する深い洞察を活用して、既存投資家・スタートアップ・当ファンドと三方良しのセカンダリー売買を実現します。ケップルはスタートアップと投資家、双方への支援を通じて、スタートアップエコシステムの発展に貢献します。ファンド設立の背景エコシステムの課題日本におけるスタートアップエコシステムの課題として、流入した投資資金の出口が比較的小規模なIPOに偏重していて限定的であることや、未上場の大企業(ユニコーン企業)の創出が少ないことが長年指摘されており、エコシステム発展の阻害要因となっていると考えられます。ここ数年は、CVCなどの投資企業が増加し、スタートアップの投資金額が8,000億円規模へと急増してきたものの、いまだに先述の課題は解決されていないのが実情です。この背景には、新興市場へのIPOが比較的短期間で実現できるために、シード期に参画した投資家の投資期限等の事情によって、スタートアップが十分な成長を遂げる前にIPOを選択せざるを得ないケースが多いことが挙げられます。セカンダリー取引のニーズエコシステム全体の動きにおいて、近年スタートアップ投資拡大の中でひと際目立つのが、事業会社・CVCによる投資参入の増加です。事業会社・CVCはオープンイノベーションを目的に投資しており、その多くが金銭的リターン以上に戦略的リターンを重視しています。しかしながら、事業戦略の見直し等により、当初想定した戦略的シナジーを生み出せないまま、潜在的に売却ニーズを抱える企業は多数存在しています。セカンダリーファンドの役割こうした課題の解決にセカンダリーファンドが担う役割は大きいと期待されています。セカンダリーファンドは既存株主から投資を引き継ぐことで、スタートアップのIPOまでの助走期間を延長させ、頻発する小規模なIPOやユニコーン企業創出の少なさといった課題の改善に寄与します。また、事業会社の売却ニーズの受け皿となることで、事業会社は新たなオープンイノベーションに向けての再投資が可能となり、結果としてスタートアップ投資の新陳代謝が活性化します。しかしながら、国内においてはこうしたセカンダリー取引ニーズの規模と比較して、充分な数のセカンダリーファンドが存在しているとは言えません。国内外のセカンダリー市場の動向米国や欧州では、スタートアップの資金調達とともに未上場株のセカンダリー取引が拡大してきました。セカンダリー取引が適切に機能することで、スタートアップが上場前に高い成長を長く継続することが可能になった結果、ここ数年ユニコーン企業の誕生が活発化しています。こうした海外の動向を踏まえ、国内においても官民でスタートアップの長期成長におけるセカンダリー市場の重要性が認識されるようになっています。2022年3月に発表された経団連の「スタートアップ躍進ビジョン」、2022年4月に発表された自民党の「スタートアップ・エコシステムの抜本強化に向けた提言」においても、スタートアップのさらなる成長を後押しする手段として、未上場株セカンダリーマーケットの整備が提言されています。当ファンドの戦略当ファンドは、円滑なセカンダリー取引を実現することで、既存投資家にとっては投資の流動化の促進、スタートアップにとっては追加の成長期間を提供し、上記のような課題や阻害要因を解決するために設立されました。主に国内のミドル・レイターステージのスタートアップ企業の既発行株式を投資対象とし、数年をめどにIPOやM&Aによる投資回収を想定しています。なお、当ファンドは2023年夏頃のファイナルクロージングを計画し、最大で総額50億円規模を目指します。当ファンドへのお問い合わせフォーム:https://kepplecp.co.jp/contact関係者の略歴堂前 泰志2002年、新卒で日本アジア投資株式会社に入社し、ベンチャーキャピタリストとしてのキャリアをスタート。その後、ITベンチャーでの経営企画業務・新規事業立ち上げなどの経験を経て、2013年より三菱UFJキャピタル株式会社にて、ベンチャーキャピタリストとして活動を再開。主にFintech・AIセクターを中心としたスタートアップへの投資を担当し、8年間で4社の投資先がIPOを実現。Forbes JAPANが発表した2021年版「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」第7位にランクイン。 2021年10月から、スタートアップエコシステムのさらなる発展への貢献を目指し、株式会社ケップルへ参画。神先 孝裕2009年、公認会計士試験合格後、あずさ監査法人に入所。2013年にケップル会計事務所を創業。2015年に株式会社ケップルを設立。未上場株式管理SaaS「FUNDBOARD」の開発を開始、その後日経新聞と資本提携し、スタートアップデータベース「KEPPLE DB」を共同開発。2018年には、ケップルアフリカベンチャーズを設立し、現地で投資を開始。2020年は世界のVCの中で最もアフリカで投資を行ったVCとして各メディアで取り上げられる。「イノベーションを促進するグローバルプラットフォームとなる」というビジョンの実現に向けて、グローバルでスタートアップと投資家への支援の輪を拡大させるべく、日々事業に向き合う。当ファンドの概要組合名称:Kepple Liquidity1号投資事業有限責任組合存続期間:効力発生日から7年目の決算日までGP:株式会社ケップルキャピタルケップルキャピタル概要社名:株式会社ケップルキャピタル(株式会社ケップル100%出資)所在地:東京都渋谷区代表者:神先 孝裕URL:https://kepplecp.co.jp/株式会社ケップルについてケップルは、「Create New Industries(世界に新たな産業を)」をミッションに掲げ、スタートアップエコシステムの発展に貢献するための様々な事業を展開しています。代表的なものとして、スタートアップエコシステムを可視化するスタートアップメディア「KEPPLE」や、イノベーションを促進するためのスタートアップデータベース「KEPPLE DB」、VC・事業会社向けの未上場株式管理ツール「FUNDBOARD」等を運営。また、ファンド決算業務の受託やCVC立ち上げ支援、スタートアップ企業の株価算定など幅広いサービスを提供しています。今後はさらに、世界中のスタートアップ・投資家へと支援を広げてまいります。